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企業の拠点間通信だけじゃない、日本の通信を支える立役者「専用線」の仕事とは? (運用・保守編)

今回は全国に構築された専用線の通信網とお客様拠点をつなぐための最終工程を担う納品部門、開通後のケアを行う保守部門をご紹介します。アルテリア・ネットワークスでは、法人のお客様に向けて高品質・高信頼のネットワークサービスを提供しています。その中でも専用線事業は生命線ともいえる存在の一つ。外からは見えにくいその仕事の全貌や現場の声をこれまで数回にわたってお届けしていますが、今回は納品・保守両部門で業務に携わる2名の社員に話を聞きました。

——上原さんにお聞きします。まずは納品の業務内容を教えてください。

上原さん:納品はその名のとおり、お客様に専用線サービスを納める仕事です。企画や設計、営業の後を引き継ぎ開通に至るプロセスの最終工程を担いますが、実は受注する前から仕事は始まっています。たとえば構成や要件などの方向性を提案段階で営業と一緒に検討したり、時には商談に同席してお客様から直接お話を伺ったりすることも。希望のルートや通信速度などを聞いて、どうすれば実現できるか具体化していきます。
専用線はお客様にとっての基幹ネットワークですから、その稼働が止まることは許されません。それゆえ自然災害に備えて複数のルートを用意したり、大容量のデータ通信に耐えられる機器を選定したりと、要件が多岐にわたります。加えて、納期は絶対。専用線を使ってビジネスを手がける企業では既にサービス開始のプレスリリースを出していることもあるからです。常時担当者一人で30~60件ほどの回線を担当しており、スケジュールに滞りなく工事を終えられるよう、木目細かな進行管理が求められます。

——商談に同席する機会もあるとは驚きました。業務を進めるうえで気を付けていることはありますか?

上原さん:第一に、プロジェクトに関わる皆さんとの良好な関係構築ですね。お客様の希望にかなう形で納品できるのは、施工会社をはじめ外部の協力あってのことです。お客様のオフィスやデータセンターなど、施工現場は一つとして同じところはありませんし、一見似ている構造でもケーブルの引き方が異なったりと細かなルールが現場ごとに決められていたりします。また、工事は時間との勝負。1日たりとも無駄にできません。原則は施工会社にお任せしますが、いざというときにはケーブル1本届けるために地方の現場に駆けつけることもあります。良好な関係を築けるとトラブルを未然に防げるなど仕事の質も上がりますね。
いい仕事ができる相手とは関係性もよくなって、好循環が生じるもの。それぞれが気持ちよくプロジェクトに関われるよう、常に相手への尊重と気配りを忘れずにコミュニケーションを図っています。
加えて納品は「企画や提案の段階で想定していたことが、実際にどうだったか」と、結果が明らかになる工程でもあります。サービスの開発や改善につなげるためのフィードバックも大切な仕事のひとつです。

デリバリー本部 基幹デリバリー部 線路構築課 上原 大樹さん
(アルテリアの前身会社の1つである、グローバルアクセスに2008年に入社以降、専用線のデリバリー業務一筋。自社・他社の光ファイバー芯線や各ビル・データセンター内の構内光ファイバーの手配、伝送機器の通信に必要な光線路の構築を担当。趣味はサッカーで、土日祝日は小学生のサッカーコーチ。バリカンが日課。)

——瀧口さんにお伺いします。保守の仕事について教えてください。

瀧口さん:専用線が無事に開通したら、保守は納品からバトンを受けてお客様のアフターフォローを担います。
私の職場は監視ルームと呼ばれるところです。各地に設置された伝送装置が正常に動いているかを執務室にズラリと並んだモニターから確認しています。何かあったときにいつでも出動できることが重要なので、24/365と呼ばれる特殊な勤務体系を採用。感染症対策も一般の職場よりも厳しく、人との接触も特別な用事がない限り制限されています。(編集部注:今回の取材もオンラインで実施しました)。現在は監視ルームへの勤務も輪番体制を敷いていて、在宅勤務と併用していますね。
保守というと、トラブルに対応するイメージがあると思います。もちろん、通信に異常が生じたときの復旧作業やお客様からのお問い合わせに応じることも大事なのですが、それ以上に日ごろの準備を万全にし、予防保全に努めることこそ保守の役割といえます。たとえば通信は機能していても、伝送装置から警報が出た段階でお客様にその旨をお伝えし、機器のメンテナンスを行うといった業務がそれにあたります。

——保守の仕事を進めるうえで大切なことは何でしょうか?

瀧口さん:通信はつながっていて当たり前ですから、たとえ1秒でも滞ったのならばそれは障害です。更に機密性の保持(通信の秘密という大原則)が求められ、どのような情報のやり取りが行われているのか私たちは知ることができません。たった1秒のロスにより、甚大な損害が生じる可能性もあるのです。こうした事態に備えてあらかじめリスクを潰すという点では、“守り”より“攻め”の仕事といえるでしょう。
先手必勝の姿勢はお客様からの信頼にもつながっています。障害が起こってからでは、お客様が抱く当社への印象はまったく違ってくるはずですからね。また、保守を行った時にお渡しする報告書も、通信に詳しくないお客様でも理解できるように用語を言い換えたり模式図を使ったりと工夫を凝らすようにしています。
どんなに予防保全を尽くしても、警報が出ない場合など障害の発見が遅れる場合もゼロではありません。対応が後手に回ることは私たちにとっても辛いケースです。大変ではありますが、お客様に対して真摯に向き合いご説明を重ね、結果ご納得いただけたとき、安堵と同時にやりがいを得ることができます。お客様目線に立ったアフターケアで、「アルテリアは面倒見がいい」と感じてもらえたら嬉しいですね。

オペレーションセンター 伝送オペレーションチーム 瀧口 大生さん
(2010年にアルテリアの前身会社の1つである、グローバルアクセスに入社。チームマネージャーとして障害対応を最優先に、専用線サービスの可用性及び稼働率99.999%を目的とした各種取り組みを推進。趣味は、小学2年生の頃から始めた釣りで、目標は80センチ以上のランカーシ ーバスを釣ること。写真は78センチのシーバス。)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のためリモートで取材。

——上原さんと瀧口さんは業務を通じての接点も多いと思いますが、お互いどのような印象をお持ちですか?

瀧口さん:上原さんが発信される専用線グループへのチャットの投稿、チェックしていますよ!​​​​​​​

上原さん:ありがとう。業務で知り得た情報は周りの人にも役立つと思って、専用線のメンバーに発信しているんです。

瀧口さん:保守の立場からだと見えないけれど、意外と重要なことも多くて、セクションのみんなもすごく助かっています。

上原さん:納品時の気づきはそのまま保守にも影響しますからね。できる限り知ってもらっていたほうが、スムーズな対応につながるはずですから。それにしても、いつも驚くのは保守のみなさんの知識量!少し変わった設置のときや、運用事例の少ないものなど、よく相談にのってもらっています。ひとつの事象に対し、あらゆる可能性を引き出してくれるから本当に心強い。現場でタフな経験を、たくさん積んでいるからだと思います。

瀧口さん:アルテリアは保守に限らず、他の会社よりも一人ひとりの業務範囲が広いですよね。だから同じ仕事をしていても全体像を意識するし、周りのセクションとのつながりも強い気がします。

上原さん:プロジェクトの成功が見えるから、達成感がありますよね。表向きにはアルテリアの名前は出ないけれど、誰もが知っている通信サービスにも関わることが多いし。ひっそりと誇りに感じています。

瀧口さん:わかりますね!特に保守は最前線にいる分、インフラを支えていると実感しやすいかも。いずれにせよ、専用線は部署を超えて結束が強いですよね。

上原さん:そうだね。それぞれの持ち場でプロフェッショナルを発揮しながら互いに協力し合う文化が根づいていて、チームで乗り切る姿勢が感じられます。

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※この記事は2023年1月現在の内容です。