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日本中に通信の動脈を張り巡らせ、鼓動を伝える専用線事業 伝送・線路の仕事とは?

インターネットサービスや携帯電話をはじめ、私たちの生活には欠かせないネットワーク通信。その大元となるのが専用線であり、アルテリア・ネットワークスの主要事業のひとつです。そして専用“線”と言うだけに、実際にケーブルを通すことで通信が成り立ちます。北は北海道から南は九州まで、途切れることなく信号を届けるために、どのように拠点間を結んでいるのでしょう。今回はケーブルの敷設に関わる2人の社員に話を聞きました。

――杉村さんと原澤さんが携わる「伝送」と「線路」とは、専用線事業でどういう役割を担うのでしょうか。

杉村さん:線路は新しく専用線網をつくるときに、光ファイバーケーブルの敷設に向け、経路を検討し、工事などの計画を立てるチームです。
企画段階ではネットワークをつくるエリアは決まっていますが、どこにどのようにケーブルを通すのかを考えるのは私たちの役目。マンホールや道路の下に管路を新設してケーブルを走らせるのか、国や自治体が持つ管路や電線共同溝に入線するのか、あるいは電力会社や電話会社の電柱に引き込むのかなど、ベストな方法を選択していきます。

原澤さん:とはいえ光ファイバーケーブルを通すだけで、通信ができるわけではありません。信号をケーブルに送る伝送装置が必要です。ケーブルが水道管だとしたら、伝送装置はポンプの役割。そして伝送装置が信号を送ることのできる距離は、1台につきだいたい70~80km。最長でも120km程度です。私たちが手がける通信は長距離に及びます。そのため専用線通信の中継地点にも、伝送装置が必要になります。私はデータセンターといった通信関連施設や拠点などに設置する伝送装置の選定や、設備工事の設計を担当しています。

杉村さん:専用線網をつくる流れでは、通信拠点に伝送装置を設置してケーブルを敷設するイメージだけど、実際の業務は並行して進めていきます。線路の引き方によってどこの拠点を経由するかは変わるし、逆に拠点を定めて間をつなぐように線路を考えることも。

原澤さん:お客様が希望されるルートよっても、変わってきますよね。経由したい拠点の数や場所、あるいは安全を期して複数のルートを確保するなど。いずれにせよ、ケーブルと伝送装置、どちらが欠けても通信はできないから、連携が大事になってきますよね。

杉村さん:だからプロジェクトが立ち上がったときに、お互いに全体像を共有しますよね。どういう状態を目指すのかを握り合ったうえで、各セクションで自分たちのパートの最善案を考える。それを持ち寄って、擦り合わせながら具体的な形にしていく感じです。

原澤 慶さん (専用線構築の監督員を経て、現在は基幹伝送網の設計・構築を担当。趣味のオーディオ機器を求めて家電量販店を巡るのが楽しみ。データセンター内も自宅内も同じように綺麗に配線できますよ。笑)

――原澤さんにお聞きします。伝送業務のいちばんのポイントは?

原澤さん:環境や条件に応じ、ポテンシャルを最大限引き出すにはどうすればいいかを考えるという点で、この仕事の面白さと難しさの両方を感じます。
高機能で最新の装置を使えば、通信がうまくいくとは限りません。なぜなら、ある地点から別の地点へと信号を届けるのに、拠点間の距離や中継地の環境、各区間で使われるケーブルや伝送装置の組み合わせなどによって、通信の質が大きく左右されるからです。
また、専用線が扱う通信は大容量です。家庭で使用する通信量がスプーン1杯程度だとしたら、競技用プールくらいになるといっても過言ではありません。
大量のデータを速くかつ確実に届けるうえで、私たちが担っている伝送業務が一つのカギとなるので気が抜けません。

――続いて杉村さんにも。線路の業務で肝となるところを教えてください。

杉村さん:自分たちで新しく管路をつくれば好きなようにケーブルを敷設できますが、工事は大がかりになるため、費用がかかり工期も長くなりがちです。片や自治体や他の企業の管路を借りる場合、ケーブルを早く敷設できますが、自前の管路より制約が多く、管路の使用料を支払い続けなければなりません。加えて地震や豪雨など、自然災害によるリスクも考慮する必要があります。通信の安定性を担保しつつ、予算や開設時期、確保したい通信量などを考慮して、一長一短あるそれぞれの方法をうまく組み合わせて線路を設計していくところが、腕の見せ所といえます。
設計にあたっては、敷設予定の道路や土地の状態を知っておく必要があります。地図ソフトで確かめつつ、最終的には現地に出向いて道路の走り方や電柱の並び方など、あらゆる観点から周辺の状況を確かめて検討していきます。
そして工事の前には、土地や共同溝の所有者から許可を得る必要があります。国交省から県や市町村、場合によっては地元の方と交渉するのも大事な仕事です。特に電柱については、1本につき1枚ずつ申請書を提出する必要があります。このときも、ケーブルを設置しても物理的に問題がないか風力などをあらかじめ計算し、安全性を証明したうえで届け出ます。これまでアルテリアで提出した申請書の数は、10万枚以上にのぼります。

杉村 憲之さん
(アルテリアの前身会社の1つである、丸紅アクセスソリューションズ株式会社に2012年に入社。以降、光ファイバーネットワークの設計・構築に従事。冬は雪山でスキーやスノーボードを楽しむ。)

――仕事を通じ、どんなときにやりがいを感じますか。

原澤さん:通信の量やスピードを決める変数は無数にあり、その見極めは意外とアナログ。理論上では高い数字を弾き出しても、実際は違うということも珍しくありません。シミュレーションを用いた検討もしますが、条件の設定にも動作イメージが重要になってきます。どんな伝送装置にするのか、あるいはアンプを使って信号を増幅させるのかなどいろんな手法が考えられ、このあたりは計算通りにいかないこともあります。読みが当たって、想定どおりの通信が実現できたときは、達成感でいっぱいになります。

杉村さん:設計を考えるとき、将来性も重要な観点のひとつです。せっかく新しく管路をつくったのに5年ほどしか使われなかったというのでは、いろんな意味で無駄なものになってしまいます。道路や鉄道など周辺のインフラの整備計画なども調べながら、管路を自分たちでつくるか、借りるかを検討します。
あらゆる要素を踏まえて提案した設計が採用されたときは、やはりとても嬉しいものです。提案時は難色を示されても、数年経って合理的な判断だったとわかることもあります。難しい条件が複雑に絡むときなど、「この手があったか!」と周りが気づいてくれると、リサーチと検証を粘り強く重ねた甲斐があったと報われた気持ちになります。

――お二人から見たアルテリアの強みは、どこにあるでしょう。

原澤さん:全国にネットワーク網を持ちながら、大手に比べてコンパクトなところでしょうか。ほどほどの規模だから、ケースに応じて柔軟にカスタマイズしながら広範囲で大容量の通信にも対応できる。お客様のニーズに細やかに寄り添えるところは、他社に真似できないところだと思います。

杉村さん:営業と技術がいい形で機能するように、企画がうまく仲立ちしてくれていますよね。お客様の期待に応えつつ、高い視座で見たときに社会に貢献できる設計なのか、会社の持続可能性に資するネットワークなのか、経営的な観点も含めて調整してくれるからすごく心強い。

原澤さん:そう思います。必要な情報はきちんと降りてくるし、それぞれのチームの考えも吸い上げてくれる。だから私たちは本来の役割に専念できるし、お互いの強みを発揮できます。

杉村さん:一度敷設したケーブルは、長きにわたって使われるものです。中長期な需要の推移も視野に入れ、伝送チームと連携を図りながらお客様のネットワークを支えていきたいです。

原澤さん:通信需要が伸びている今だからこそ、全国区とコンパクトという強みの両軸を活かし、柔軟な提案をしていきたいですね。

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※この記事は2022年12月現在の内容です。

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