通信インフラの裏側、エンジニアの仕事をリアルに体感する5daysインターンシップ
新卒就活生を対象として毎年8月と9月に行われるアルテリア・ネットワークスのエンジニアインターンシップ、今回は2024年9月に5日間行われたインターンシップを取材しました。
参加したのは工学系の学部・大学院に在籍する学生の皆さん。ネットワークに関する知識は普段から学んでいても、実際の業務内容は、体感しないとイメージしづらいものです。今回はインターンシップの取材を通して感じたことや、体験の様子を学生目線でお届けします!
実施概要
期間:2024年9月2日(月)から9月6日(金)の5日間
参加人数:14名
対象職種:エンジニア
開催形式:対面
インターンシップの目的
インターンシップの目的は、通信事業者の多様なエンジニアの業務体験を通して、将来のキャリアを描く上で役立つ経験をしてもらうことです。ネットワークに留まらず、データ分析やクラウド技術など、幅広いエンジニア業務を体験いただくことで、ご自身の興味の対象や適性を把握し、就職活動に生かしてもらえることを目指しています。
インターンシップの特徴
「如何に実務に近い業務を体験できるか」に主眼を置いて、アルテリアのエンジニア業務を幅広く体験できるよう各プログラムの構成を組んでいます。
OSI参照モデルに基づき、レイヤーの低いところから座学でしっかり知識を補いながら、光ファイバーの融着体験や、ネットワーク障害分析、通信データの分析によるデータの可視化・課題の特定、自社で開発するWebベースの会員向けサービス「Portas」に使用している技術スタックの紹介を通して、普段学校で学ばれている内容がどの様に仕事に活用されているかを体感いただき、様々なエンジニアとお話いただくことで職場の雰囲気や働くイメージを想像してもらえる内容になっています。
プログラムの一部をご紹介
本記事では、5日間のうち以下、◎のプログラムをご紹介します。
-破損した回線をふたたびつなげる!融着体験
2日目の「融着体験/東京港プロジェクト」 では、まずネットワークの大前提となる通信機器同士をつなげるための物理的な回線のひとつ、光ファイバーケーブルについて学びました。アルテリアでは主に、データセンター等の大規模な通信拠点向けに専用線を構築する際に用います。
光ファイバーケーブルは、中に光を通す芯線と呼ばれるガラス繊維(プラスチック繊維の場合も)が数本束ねられ、その外側を被覆(カバー)が覆う構造になっていますが、自然災害や鳥獣による被害を受けると芯線が剥き出しになったり、ひどい場合はケーブル自体が曲がったり切れたりして通信障害を引き起こします。そこで、こうした被害を受けた部分を正常なものに取り換えて接続しなおす作業が「融着」と呼ばれています。
まず、接続するケーブルの被覆を先端から数cm剥がして作業がスタート。微細なケーブルを手作業でつなぐのは困難なため、ここから先は専用の機械を用いて行います。芯線同士が接続できたら、スリーブとよばれる新たなカバーをかぶせて作業完了です。体験では、二人一組になって融着を行いました。細心の注意を払いつつ手作業と精密機械とでケーブルをつなげる作業は、まさに血の通った技術の結晶と呼べるでしょう。
続いて登場したのはOTDR(Optical Time Domain Reflectometer、光パルス試験器)と呼ばれる計測機器。ケーブルの中を通る光の強さや距離がグラフで表示されます。これを使えば回線のどのあたりで不具合が生じているかをおおまかに特定できる優れもの。災害の発生時や障害の報告があった時はこのようなデータも参照しつつ、作業員が回線の修復へ向かいます。
融着体験の最後にはアルテリアが参画して敷設した芝浦・品川エリアと豊洲・有明エリア間の東京港を横断する通信用光ファイバーケーブル についても紹介。豊洲側から通したケーブルを芝浦で引き上げる様子を動画で見学しました。
-インターネットを構成する「物理」と「論理」
3日目のプログラム「IPネットワーク運用・保守」では、IPバックボーンと呼ばれる領域で保守にかかわる皆さんからレクチャーを受け、ワークショップを開催しました。
インターネットは、機器同士を単純につなぐだけでは使えるようになりません。物理的な回線のネットワークに加えて、データをやり取りするために必要な「論理」が存在しているのです。たとえばネットワーク上における住所によく喩えられるのがIPアドレス。同じグループのアドレスを持つ機器であればLANケーブル等でそのまま接続できますが、そうでない場合はルーターを介さないとデータのやり取りができないようになっています。
ルーターには、ルーティングテーブルと呼ばれるデータが格納されており、これは目的地となるアドレスに最短距離で到達するための一番近い経由地を示すいわば案内標識の役割を果たしています。またルーターの不具合が原因で通信障害が発生するリスクに備えてバックアップのルーターを用意しておき、トラブルが発生した際には自動的に切り替わるようにルートが設定されているケースも多くあります。
障害の報告を受けたら、まずはその原因となる事象は何なのか、それがどこにあるのかを見極めるための「切り分け」と呼ばれる作業を行います。各ルーターにコマンドと呼ばれるメッセージを送って応答を確認したり、ルーター各部が正常に機能しているかの情報を収集したりして、まるで患部を見極める医師さながらに原因を特定していきます。
座学の後は、グループで協力してネットワーク障害の原因を突き止めるワークショップを行いました。専用のソフトウェアを使って今日のために用意された模擬社内ネットワークへと接続すると、座学パートで学んだコマンドを駆使して、応答して帰ってくる文字情報を解読しながらルーターとやり取りをします。
制限時間が終わると、各グループがそれぞれどのように障害を突き止めたかを発表しました。チームワークが功を奏し、各グループのほとんどが全問正解へとたどり着くことができたようです。
最後に、実際の業務では障害対応や不具合調査のみならず通信のトラフィックを予測することが必要であることも学びました。人気ゲームのリリースやソフトウェアのアップデート、ストリーミングでの映像作品やスポーツ中継の配信の際は、通常よりも通信量が増大し、不具合が多くなることが予想されます。こうした情勢も考慮しながら、快適なインターネット環境を日々支えているのです。
-自分なりの働き方と成長を模索できる環境
最終日は、2024年度に新卒で入社した1年目の社員との座談会が行われました。集まったのはIPオペレーション部、基幹オペレーション部、基幹システム部に所属する3人。それぞれ専門性や働き方は違いますが、エンジニアとして奮闘しています。座談会は、グループに分かれて円になり、インターン参加者からの質問に社員が答える形で進行しました。
質問は多岐にわたります。現在の勤務体系や業務内容から、アルテリアに入る以前の学部生・大学院生時代の研究内容、入社後の研修はどのように過ごしたか……。しかしなんといってもインターン生が一番気になるのは就活時の体験談。つい先日就活を終えたばかりの先輩たちが、就活に臨むメンタリティや会社選びの軸などを率直に話していました。
中でも一番に伝えていたのはアルテリアで働く社員の「人柄の良さ」。自身が入社を決めた時のバトンを渡すように、皆さんもぜひ一緒に働きましょう、と伝える姿が印象的でした。
おわりに
5日間を通じて、普段は見えにくいネットワークという領域でアルテリアのエンジニアは何をしているのか、全体像を把握することが出来るプログラムでした。しかしそれだけでなく、社員それぞれの人柄や働き方の姿勢が随所に表れていたと思います。これこそが、今や生活に欠かせない通信インフラを高い技術と熱意で支え続けるアルテリア・ネットワークスという会社の姿ではないでしょうか。そう思わせてくれるような、アルテリアの「リアル」を体感できるインターンシップでした。