「デンソウって何?」から始まった 新卒ネットワークエンジニアが保守運用にハマるまで
アルテリア・ネットワークス(以下アルテリア)のネットワークエンジニアとして、新卒で入社した山本翔さん。大学では情報通信を専攻していたとはいえ、配属先である伝送ネットワークの保守運用は未経験の領域でした。配属当初は不安を感じながらも、今では仕事の奥深さに魅了され、「通信を守る」という使命感に燃える毎日を送っています。どのように成長を遂げたのか。入社1年目を振り返りました。
一日のスケジュール
8:55 勤務開始
ネットワークは眠ることがありません。そのため小グループに分かれ、24時間体制で保守運用にあたっています。シフトは9時から17時半までの日勤と、16時半から翌朝9時半までの夜勤の2パターン。夜勤明けとその翌日は非番(休日)です。
9:00 引き継ぎミーティング
夜勤のメンバーから今の通信の状況やシフト中に起こったこと、すぐに対処すべきことなどの報告を受け、当日の動きを整理します。毎日欠かすことのできない、重要なコミュニケーションタイムです。
10:00 保守運用業務
回線トラブルや装置の異常など、アクシデントは不意に訪れるもの。また影響が及ぶ範囲も、事故の程度によってまったく変わってきます。終始落ち着いている日もあれば、忙しさに目が回るような日も。
13:00 ランチ
常時監視を続けるため、お昼休みも交代で。シフトリーダーが休憩のタイミングを決めますが、希望があるときは優先してくれます。
15:00 協力会社へ連絡
現場確認や現地での作業が必要な場合、各地の協力会社に依頼をかけます。ほかにも装置の解析依頼や新規契約に伴う設定などは、緊急対応の合間に。
17:00 夜勤メンバーへの引き継ぎミーティング
夜勤のメンバーへシフト中に発生した障害、対処すべきことなど日勤で起きたことを報告します。引き継ぎ時に漏れがないことが重要となります。
18:00 退勤
緩急をつけたパフォーマンスで障害を未然に防ぐ
――業務内容についてお聞かせください。
アルテリアでは専用線と呼ばれる、ネットワークサービスを展開しています。お客様の拠点間を光ファイバーでつなぎ、文字通り“お客様専用”の光通信網を築きます。
金融や医療機関、研究機関のように機密性の高い情報を扱う業界や、動画配信など大量の通信を行う事業、拠点間で頻繁に情報をやり取りする企業などに用いられています。またアルテリアグループが展開するいろんなサービスの根幹となる通信で、まさにグループの生命線です。その保守運用を部署で担っています。
――具体的には何をしているのですか。
専用線通信の拠点間は、「伝送装置」と呼ばれる光ファイバーに信号を送る機械をいくつも経由して、ルートを築いています。私たちのチームは各地に設置された伝送装置など設備の状態を、24時間365日ウォッチし続けています。
伝送装置が送る信号は、光の波長を少しずつ変えることで、大量の情報を通信できるようにしています。ところがわずかな物理条件の違いで、光の波長も変化します。伝送装置の経年劣化も変化の原因のひとつ。たとえば光の強さが弱まって、次の伝送装置まで信号が届かない、回線断などの通信障害を引き起こしてしまいます。
そうした事態を未然に防ぐため、装置の点検や修理、交換などを通じてリスクを潰していくのが主な仕事です。保守と聞くとトラブルに対処するイメージがあるかもしれませんが、実は先回りのアクションがカギを握ります。
――緊張感と隣り合わせですね!
確かにそういう部分もありますね。でも常に何かが起こっている、というわけでもないですし。非常時にパフォーマンスを発揮できるようにするには、むしろ緩急がポイントである気もします。
通信障害が起こったときは、いち早く復旧できるよう全力を注ぎます。このときに大切にしているのは、最終的に目指す状態を明確にする、そして、ゴールから逆算して今やるべきことに集中するという2つです。全体を俯瞰し先を見据えつつも、目の前の問題にフォーカスする。この視点の行き来が大事になってきます。
先輩の指示を受けて動くこともありますが、自分で仮説を立て、意見を仰ぐ場面が多いですね。はじめは状況把握もままならなかったですが、仮説立てと修正を繰り返すことで、徐々に勘どころをつかめるようになってきました。
一期上の先輩の働きぶりに戦慄が走った
――アルテリアには新卒で入社していますよね。
学生時代は情報通信を専攻していて、サーバーを構築したり、アプリをつくったりしていました。アルテリアに興味を持ったのは、半ば趣味半分で楽しんでいた通信がインターネットという土台があってのことだと気づいたから。ITサービスのもっと手前、ネットワークそのものの構築に携わりたいと考えるようになりました。
入社当時はインターネット網をつくるんだろうな、くらいのイメージしかなかったのですが、実はもっともっと奥が深かった(笑)。専用線自体は知っていましたが、光ファイバーや伝送装置のような現物が、ネットワークを支えていることを目の当たりにして、すごく衝撃的でしたね。ましてや、学生の頃には実際に見たことがなかった“伝送”を扱うチームの配属となって、最初は正直戸惑いました。
――配属後、どんなところが不安でしたか。
配属間もなく、比較的大きな通信障害が発生したことがありました。まだ研修中だったので、現場には入っていなかったのですが。複数のアラームが鳴ると同時に、現場の空気が一瞬でピリっとして。先輩方の背中からも、「これはヤバいことが起こっていそうだ…」と伝わって来ました。普段は穏やかな方ばかりなのですが、このときばかりは話しかけてはいけないと思いましたね。
実際に現場に入って刺激を受けたのが、先輩方の仕事ぶりです。特に自分のメンターをしてくれた1つ上の先輩には驚きました。一期しか違わないのに、しっかりチームに貢献していたから。自分も1年後、先輩と同じように活躍できるのかと、不安で仕方がありませんでした。
研修による“伝送”の下地が現場での学びを支える
――ネットワークを学んでいたとはいえ、未経験も同然だったのですね。
伝送はネットワークの中でもマニアックな分野で、少し調べたくらいでは専門的なナレッジは習得できません。専用線についても、ほとんど知識ゼロの状態でした。けれども伝送オペレーションチームは、初期教育に力を入れていることで、社内でも一目置かれている部署です。私が入社したときは人事の新入社員研修が終わってからも、部内で3カ月間の研修期間が設けられていました。中途入社であっても、経験に応じてトレーニングが実施されます。
研修では、部署のマネジャーやプロフェッショナル級の先輩方が、専用線の基本の基から説明してくれました。それぞれの仕事の成り立ちや関係性、背景にある物理の考え方まで、現場で遭遇するであろう場面と照らし合わせて教えてくれたので、ネットワークの全体像を捉えながら伝送の保守運用を理解することができました。
――早く現場に入ったほうが、仕事を覚えられそうですが。
座学でじっくり取り組んだ経験が、現場で生きていると感じます。というのも、基本的な通信の仕組みやつながり、専門用語がわかっていないと、周りの説明を聞いても理解できないし、質問するにしても聞きたいことをうまく言葉にできないからです。
現場ではメンター役の先輩のサポートを受けながら、OJTで仕事を覚えていきます。はじめのうちこそメンターとシフトを揃え、先輩の仕事を手伝いますが、徐々にメンターのいないシフトに入る日も増えてきます。
部内では「1年目社員のチェックリスト」を運用していて、経験してほしい対応や身につけるべきスキルが細かく項目化されています。メンターでなくても新人の経験値がひと目でわかるので、成長段階に合わせて仕事を任せてもらえるようになります。
またメンターとの1on1のときに一週間を振り返りつつ、次の週の目標や注力することなどを整理します。担当してくれたメンターは、自分がわからないことを前提に丁寧に教えてくれる先輩で、仕事の解像度が格段に上がりましたね。
それに他の先輩方も、とても親切。自分が書いた日報に目を通してくれているから、得意なところや弱いところもわかったうえで接してくれますし。特に夜勤で業務が落ち着いているタイミングで、メンテナンス中には聞けなかった対処の背景などを質問して、次に活かすようにしています。
目標に向かって一丸となれるチームが大好き!
――チーム全体で、成長を応援してくれているのですね。
そうだと思います。そもそも伝送チームは、結束力が強いと感じます。障害が起きたときも復旧という一つの目標に向かって、チームワークを発揮します。そのせいか普段からコミュニケーションも活発で、アルテリアの中でもけっこう賑やかな職場なのかも。
ある意味、一緒に過ごしている時間が家族以上に長いですよね。プライベートでも釣りに出かけたり、オンラインゲームに時間を合わせて入室したりと、仲よくしている人が多い印象です。仕事には情熱を傾け、仲間には温かな目を向ける人が集まっていて、本当にこのチームが大好きです。
――最後に、今後の目標を教えてください。
通信はおろか、伝送エンジニアとしてもまだまだ。先輩方と仕事をしていると、光ファイバーや伝送装置の相互関係や装置ごとの仕様など、経験に基づく知識量や幅に驚かされます。まずはチームに貢献できるように、早く一人前になりたいですね。そのうえで、通信インフラからネットワークまで全体を網羅したネットワークエンジニアを目指したいと考えています。
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