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産学の垣根を超え、ネットの未来を見据えた「ShowNet」に燃える技術者たちとの交流が刺激に

2024年6月12日(水)から14日(金)の3日間、情報通信関連の専門イベント「Interop Tokyo 2024」が幕張メッセで開催されました。その目玉のひとつが、会場内にネットワークを構築する「ShowNet」ブースです。今回は、アルテリア・ネットワークスからプロジェクトチームに参加している山﨑 俊彦さんに、その舞台裏やチームメンバーとして活動を続ける理由についてお話を伺いました。

ネットワークの未来を展望する体感型ブース「ShowNet」

――はじめに、Interop Tokyoについて教えてください。

Interop Tokyoは、インターネットにおける技術動向とビジネス活用のトレンドを紹介するイベントとして毎年開催されています。その会場内に、テーマに沿ったネットワークを構築して展示しているブースが「ShowNet」です。「5年後、10年後に必要となるネットワークの姿」を示すというビジョンのもと、最新のネットワーク技術を用いてさまざまな会社から提供される機器を相互に接続しています。2024年は「Inter * Network」というテーマを掲げており、「*(アスタリスク)」は設営メンバーや来場者が自由に解釈できるようになっています。

今述べたような毎年の展示コンセプトや設計を担当するチームがNOC(Network Operation Center)で、ネットワークを研究する大学教授から多種多様な業界のエンジニアが集まっています。産学連携でコンセプト策定から設計、構築、運用まですべてを担当しており、その中で私が、特別協力という形でアルテリア・ネットワークスを代表して参加させていただいています。

加えてNOCチームのマンパワーを補うため、ネットワーク技術に対するモチベーションが高い一般の方から書類選考と面接を経て選抜されたSTM(ShowNet Team Member)というボランティアチームがあります。設営の段階でラックの設置や機器の設定などをお手伝いいただいたり、イベント期間中はトラブルや質問対応の窓口として動いていただいており、40人近いメンバーが在籍しています。

NOCメンバーにもそれぞれ役割があり、私の場合は機器全体の電源容量の計算やラックの搭載図等を考える「ファシリティ」と呼ばれる領域が主な担当です。他にもネットワーク間でデータを中継する機器であるスイッチの担当や回線のモニタリング、セキュリティ担当などさまざまな分科会があります。開催前年の12月頃から準備が始まり、月1 回の定例ミーティングで各セクションが歩調を合わせつつ、実際の設計業務や構築を経て本番を迎えます。

<ShowNet体制図>

――どのような経緯でNOCチームに参加されたのでしょうか?

私は学部生時代、ボランティアチームのSTM のほうに参加してたんです。某企業のインターンシップに参加して疑似的にインターネットを構築する体験をし、座学だけではわからなかった「つながる」仕組みを理解したことで、通信に魅力を感じ始めていた頃でしたね。ちょうどその頃、アジア太平洋諸国のネットワーク研究者や技術者が福岡に集まる「APRICOT-APAN 2015」というカンファレンスが開催されました。興味があり参加したところ、縁あってその場でSTMを紹介され、選考を経てメンバーに選ばれた形です。

その後、大学院進学を経てアルテリアへ就職しましたが、入社3年目の頃にもう 1 度自分の力量を試そうとSTMの再応募を考えていたタイミングで、光栄なことにNOCを統括する方から直々にNOCメンバーへのお誘いがありました。それ以来、会社の承諾を得て2021年から4度目の参加になります。

社内だけでは得られない知見と刺激

――NOCメンバーであることの魅力はどこにありますか?

まず、集まるエンジニアたちの圧倒的なレベルの高さですよね。それぞれの分科会でその道のプロフェッショナルが集まっていますからね。私もメンバーとして参加してはいるものの、毎年が勉強です。技術だけでなく熱量も凄まじく、純粋な興味で有休を使って参加されている人もいます。

それだけでなく、アルテリアにいるだけでは触れられない技術を扱えるのも魅力です。普段の業務ではむしろルータやスイッチを扱ったり、外部とネットワーク接続するピアリングを担当していることが多いので、ファシリティは少し毛色が違います。モニタリング系のシステム運用保守をやっていた時期も長かったのでそこに対する興味もあって、色々なツールを実際に使ってみてどれがいいか検討する材料にしています。社内の検証だけでは見えない結果が実際に見えるメリットもありますね。またShowNet自体に数百社が出展しているので、時間さえあればとにかく色々と見て回ります。新しいものに触れるのは本当に面白いですよ。

――精鋭が集まるNOCメンバーの中で、ご自身の強みはどこにあると感じますか。

正直、技術力だとそれほど大きな優位はないと思います。それよりも各社とのコミュニケーション能力が強みではないかと思っていて、NOCメンバーとして自分が果たしたい役割でもあります。私が担当しているファシリティだけでも毎年25社ほど交渉して機器の提供を募ったりするので、大規模な調整業務でもあるんですよ。

またShowNetの設営には約2 週間かかりますが、ファシリティにおいては最初と最後が特に踏ん張りどころです。最初の3日間程度でネットワークを構築するラックの設置や電源の引き込み、機械の積載から電源投入までほぼ全て仕上げなければなりません。そうでないとその後の工程が全て止まってしまい、開催に間に合わなくなってしまうからです。最低限の基盤を作るのが最初にして最大のミッションですね。

撤収も準備と同じくらい重要です。扱う電源の電圧がとても高いため、少しでも事故が発生すれば人命にかかわります。いかに事故を起こさず作業を終えるかが肝心なんです。
今回が4回目でしたが、前回までご一緒していたベテランの方が別のチームに移ってしまい、今回はファシリティ未経験の2人と一緒のチームだったんです。そのため今回は実際に手を動かす部分をその2人にお任せして、私はフォローアップや各社さんとの調整をメインに動いていました。人材育成のような側面が強くて、それはそれで成長でしたね。

<写真左:ラックの設置作業の様子、写真右:光ファイバの敷設作業の様子>

――ShowNetは山﨑さんにとってどんな存在ですか?

ShowNetは自身の学びの場でもありつつ、”人脈作りをする場”ですね。参加しているメンバーや各企業の担当者様が、企業の垣根を超えてShowNetを成功させるために一致団結して取り組むため、仲間意識は強いと感じています。毎年お会いする方もいれば、初めましての方も多く、いろんな出会いがあります。そういった特性上、いい刺激を受けています。

ここで得た経験と人脈を業務に生かす

――普段の業務との関連性という点ではいかがでしょう?

もちろん給与も発生していますし、会社に還元できるものは還元したいので、本来の業務に生かせる部分がないかを一番に探しています。プロジェクトチームに参加することで最新技術を間近に感じ、実際に機器に触れることは、普段の業務に戻った際に必ず自身の引き出しとなり、強みになると感じています。また、技術面のみならず私が参加することで、アルテリアの社名やロゴ露出の機会を増やすという広告塔的な役割も担っているかもしれません。

――最後に何か伝えたいことはありますか?

ShowNetについて更に詳しく知りたいという方は、2024年9月 25日(水)~26(木)に今年の成果について振り返る「shownet.conf_」というイベントが開催されます※。私もファシリティとしての取り組みについて登壇しますので、ぜひ覗いてみてください。

※リアル開催は満席につきご参加いただけません。アーカイブ配信登録のみとなります。

他にもYouTube登録者数3.5万人越えの「散財系鯖主うんちゃま」というチャンネルで取り上げられ、エンジニア界隈では注目度の高さが伺えます。僕も18分25秒あたりから登場させていただきました(笑)。ShowNetに携わるスタッフの熱量がより伝わるかと思います!

※この記事は2024年9月時点の内容です。

参考資料


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